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そろそろ売れたい



今、部屋の窓を開けてこのブログを書いているのだけど、雨が降り出してふたつの窓を開けても部屋が薄暗く、雨の匂いがする。


12月に帰国してからすっかり3月になって、時間があっという間に過ぎて行く。コロナ禍だし、加えて体調を崩してから外出を避けてずっと家にいるけれど、今の家はとにかく窮屈だ。歩いていける距離にコンビニやスーパーくらいしかなく、カナダにいた時のことを思えばすごく便利だけど、毎日それだけだといい加減に飽き飽きしてしまう。


たまに用事があって街に出ると、あまりに都会で、楽しくて開放感があってびっくりする。このあいだ街の眼科に行ったら案内された処方箋薬局がすごく風情のある店だった。隙間なく積まれた漢方薬やその独特の匂い、使い込まれた木のレジカウンターから何代にも渡って営業しているのが一目で分かるような店。高齢の方が経営されてるようで、花粉が大変ですよね、と少し会話をした。


こういう部分的に時代の流れが止まったような趣のある個人店がすごく好きだ。だけどそういう店って基本的に今はもう都会にしかないものだと思う。今私は関西に住んでいいて、家の周りは何もないけど街に出るととても都会だ。


東京に住んでいたときはたいていどの街に住んでもそこに個人店がいくつもあって、本当に楽しかった。引っ越して最初に住んだ場所の近所には昔からある大きな商店街があって、そこで個人店のお惣菜を買ったり、だんだん顔見知りになってお店の人とちょっとした会話をするのがすごく好きだった。私が生まれたときにはもう、地元にそういう文化は残っていなかったから。


その商店街では一種類のものしか売ってない店があるのなんて当たり前で、例えばコッペパンや餃子、おでん、コロッケの専門店。スーパーみたいにいろんな種類の食品を網羅していない。でもそれぞれの食べ物にスーパーでは買えない個性があって、商店街を歩くとそれらが混じり合った油っぽくて甘いような匂いがするのが好きだった。


まず、一種類の食べ物だけを毎日、何年も売っている店があるのがすごく不思議だったけど、品物がなくなったら速攻で閉店とか、閉まる時間もめちゃくちゃ早い。単純に言えばそういう店が生き残れるほど東京は人口が多いってことなんだろう。


最近は都市部でもそういうお店はだんだん苦しくなってきているという話を読んだ気がするけど、もともと他の多くの地域ではもう何十年も前に滅んでいる風景だ。都会だから唯一生き残っている風景という表現が正しいのかもしれない。


東京で一番好きだったのはそういう個性のある個人店に囲まれて生活ができることだった。家から歩ける距離に個人経営のおいしいスイーツが食べられるカフェが何軒かあり、いつ通ってもおしゃれなイタリアンや創作フレンチ料理屋さん、そして通いつめて何度も運命の出会いをした古本屋があった。


今の場所でも栄えてる街の部分に住めば似たような体験はできると思う。でも東京もなんだかんだ3年くらいは住んだ場所で、今では友達は東京にいるほうが多いし、単純に恋しい。


でも現実的に考えて、今すぐには難しそうだ。ここ最近ずっとこれからのことに悩んでる。一人暮らしをするには敷金、礼金、最初の家賃、不動産手数料、引っ越し費用...ってバカみたいに大きな金額のお金が必要だし、当たり前だけどそれを用意できたとしてもそれから先暮らしていくには安定した定期的な収入が必要だ。


予想外に体調を崩したせいでしばらく就職活動をしていないけど、だいたい、やりたいと思える仕事を見つけるのは難しい。というか私がやりたいことなんてプロフィールに書いているようにある程度定まってるし、私は私のやりたいことを仕事にしたいわけだけど、なかなかうまくいかない。というか、もう全部嫌になってきてそろそろ売れてもよくないか私?!みたいな思考回路になってきた。まずはこのブログ、書籍化して爆売れしないかな。笑


早いもので私も気づいたら今28歳、今年29歳になるわけだけど、あまりにもあっという間だった。長いスパンで考えたらまだまだ若いんだろうけど、先のことを考えるとこれ以上無駄なことに時間を使いたくない。ものすごくどうでもいい仕事をして、気がついたら職場の人間関係に悩んでて時間と気力を取られるのが嫌だな、とか。


生活のための仕事だから100パーセント私のやりたいことじゃなくてもいいんだけど、やっぱりある程度やりがいのある仕事がしたい。たとえば書くとか、メディアを運営するとか。もちろんちゃんとお金がもらえる仕事で。基本的には作品作りがしたいけど、アートベースで面白くて、ちゃんとしたメディアをつくりたいって気持ちはずっとあるから。


それかどんな仕事でもいいからまず社員として働いて一人暮らしして、お金を得て、空いた時間にやりたいことをやる方が実家にいて悶々としてるよりも効率が良いのかもしれない、とも思う。というか当初はこの予定だったのに、色々あって延期になってる。もうわからない。とにかく売れたい。笑


色々手を出し過ぎて自分で自分のことを説明するのも難しいんだけど、今まで主にやってきたことは書くこと、メディアを作ること、歌うこと、写真を撮ること、映像を作ることくらいだろうか。面倒だから全部ひっくるめてアーティストと自分のプロフィールに書いてみたけど。


あと成功してるアーティストって本当に調べれば調べるほど経済、文化資本が豊かな実家が太い人ばかりで本当に嫌になる。結局芸術は贅沢品ってね。だけどそうじゃなくても自己実現をして、幸せに生きていけるということを私は私なりに証明したい。だからそれを伝えていくこと、そして実名と姿を出して活動を続けることは自分にとってすごく大事な要素だ。まあこの先どうなるかなんて分からないけどね。


あといつも思うんだけど、そういう恵まれてる人ってそれを隠したり、他の人と同じく苦労したように振る舞う人がかなりの数いない?特権に無自覚なのかな。たぶん、貧しいところから成功したら褒められるけど、恵まれたところから成功しても「親の七光り」的な扱いを受けるから公表しても良いことがないんだろうけど。


でもそれはやっぱり実力とは別に、恵まれていることは隠さずにどんどん発信してほしいと思ってしまう。別に恥ずかしいことではないし。そういう人を見て私みたいな立場の人間は「なんだ、こんなにハンデがあるんだ」と初めて認識できるというか。配られたカードが同じ数だと錯覚させないでほしいし、その人たちのようにうまくいかないことを責め続けるほうがしんどい。


話が長くなってしまったけど、私が実名で顔を出して文章を書き続ける理由をまた次の記事にでも詳しく書こうかと思います。


いつの間にか雨が止んで、気づいたら外も真っ暗。とにかく今は毎日書くことを目標にしたいな。

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