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帰りました & 「ナポリの物語」を読んでる



滞在してた場所のチェックアウトが11時だったから今日はいつもより早く起きた。すっかり昼夜逆転の生活をしてたからすごく眠かったけど頑張って荷物をまとめたり、軽く掃除をしたりした。


スーツケース3つを新幹線で持って帰るのは無理だということに気付いたのは昨日。それから急いで2つは宅配で送って荷物は少なくなったはずなのに、それでもまだ残りのスーツケースと重いリュック、特大のショッピングバッグという組み合わせで結局は大荷物になってしまった。


自分の荷物の多さにはほとほと嫌になるけど、ここまで来たらもうこれと付き合っていくしかないんだろう。

「好きだった君へのラブレター」の原作に主人公が「姉はどこに行くにも荷物が少なくてサラッと移動ができてかっこいい。私はいつも自分の部屋ごと移動するみたいに荷物が多い」って嘆く描写があるんだけど、私も同じ。サラッと荷物少ない人って憧れるよね。でもいつも荷物が多くてかっこよくない我々のような種類の子を主人公にしてくれたジェニー・ハンは最高。


新幹線は3時間あったからBoAの新しいアルバムを聴いたり、エレナ・フェッランテの「ナポリの物語」シリーズ第1作目「リラとわたし」を読んだ。


もうこのブログを始めた頃からずっと読もうと思ってて長い間手を出せてなかったのだけど、読み始めると想像以上に読みやすい。個人的に登場人物の名前を覚えるのが苦手で、特に横文字の名前がたくさん出てくるとだんだん誰が誰だか分からなくなってくるんだけど「リラとわたし」は大丈夫だった。巻頭に説明も少し載ってて親切。

「リラとわたし」はものすごくざっくり書くとナポリの下町で育つ二人の女性の話なんだけど、なんにせよ二人の世界はつねに暴力に溢れていて、貧困ゆえ街の人たちが常に疲れてて怒りっぽい。そんな中で嫉妬したりぶつかり合いながら成長していく二人の人生を幼少期から描くっていう、たぶんとんでもない決意と共に描かれた作品。私は前半で既に泣いた。貧困の描写があまりに「分かり」すぎてる。


たとえばふたりは海に行ったことがないんだけど、それは単純に交通費が出せないということだけじゃない。親はみんな労働の疲れだけじゃなくて、生活が困窮しているから常にそのことを考えてて、それでさらに疲れて遊びに行こうなんて発想にはならない。だから当たり前にその子供たちも遊びには連れて行ってもらう機会がない。私の幼少期がまさにこれだったからすごく共感した。


あとちょっとネタバレかもしれないけど二人は「若草物語」が好きで、二人で一冊の本買ってボロボロになるまで読んで「オルコットみたいに書いてお金持ちになれたら」って想像する描写が泣けた。作者のことは全く分からないし体験したことしか書けないなんて思わないけど、ここまで貧困を「分かって」いて、そこからこの物語を書いてるんだとしたら、どうする?考えただけで胸がいっぱいになりそうだった。


まだ一巻の途中だけど、たぶんこれから二人の道がどうやって別れたか、ということが描かれていくみたい。どこで生まれるか、どんな家庭環境で育つか、そしてその場所からどうやって出るか。そういうことに重きが置かれた作品のようにも思う。我ながら自分は絶対読むべき作品だと確信。


そんなことを考えながら地元の駅に着くとさっき「リラとわたし」で読んだ世界と繋がっているように思えて不思議だった。都会のほうの駅に着いたときはなにも思わなかったけど、地元の最寄り駅を過ぎるとただ人が少ないだけじゃなく、どんよりしていてどこか張り詰めたような、というかハッキリ言って暴力が隠されてるような、そういう雰囲気がある。

だいたいみんな生まれ育った場所が「普通」だから他と違うことなんて気付かないけど、長い間離れて戻ったときは特によく見えるように思う。暴力が隠されてるというのも、実際、そうだし。覚えてるだけでも貧しい人がさらに貧しい人を騙したりするなんてことが山ほどある。


とにかく「ナポリの物語」、全4巻あってまだ1巻目の前半を読んでるから、まだまだこれからだし、続きを読むのが楽しみだ。

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