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息をするのもしんどい弁護士相談

ずいぶんと前の話になってしまうけど、今の生活状況を改善するため、M姉さんに付き添ってもらい、区の無料弁護士相談に行ってきた。


といっても私はこういう場でほとんど話せないから事前に今までの経緯を紙にまとめていき、ほとんどM姉さんに状況を説明、弁護士との対話をしてもらった。思考の止まった頭で聞くM姉さんの受け答えはすごく的確できぱきしていた。


弁護士相談を受ける前日、心療内科に行って診断書をもらった。弁護士相談するときにあったほうがいいだろうなということで。

ネットで見て良さそうかなと思って行った病院だったけれど、結果的に症状は悪化したとしか思えなかった。私がじゅうぶんに働けず窮困している理由を話すと、「彼氏作って一緒に住んで養ってもらえばいいじゃん」「あなたまだ若くてかわいいから水商売もできると思うけど、病んじゃいそうだからやめといほうがいいか」「住み込みで介護ヘルパーをしたら?」


全部本当に言われたことだ。

全部にムカついたが、特に腹が立ったのは住み込みで介護ヘルパーをするのを勧められたこと。そんなの、できたらとっくにやってるに決まってる。だいたいヘルパーなんて体力的にもすごく大変な仕事、今こんな状態でできるわけないだろう。まず水商売しかり、ヘルパーしかり、医者は例に挙げた仕事を舐めてるんじゃないだろうか。母親が介護ヘルパーとして働いていて大変だったのを覚えてるから余計に腹が立った。


とりあえず我慢して帰ってきたけれど、思い返してみると本当にひどい体験だった。最後にはなぜかユダヤ人陰謀論まで聞かされた。帰って、死にたさのバロメーターがめちゃくちゃに上がっていた。力を振り絞って病院に行ってもこんな目にばかり遭う。


弁護士相談が終わって、生活保護を勧められたので生活保護の課に行ってみることにした。


そうすると受付の横で生活保護受給者と思われる男性が職員と話をしていて、職員が男性に対して「そのメガネ新しいですよね」とそれが悪いことのような口調で言っているところだった。男性は「いや、これは新しくないです。大事に使ってるんです」と答えていた。だから嫌なんだ、と速攻で思った。


私の家が貧乏という話は書いてきたけど、うちは生活保護を受けられる収入のはずだった。だけど親たちはずっとそれを拒否していた。監視されるような気持ちになるのが嫌だと。だからうちは余計に貧乏みたいなところがあった。だけど今その気持ちがわかるところがある。他人にそういう自分のプライベートゾーンみたいなところに入ってこられるのが絶対に許せないし、それこそ余計死にたくなってしまう。


高校2年の夏休みが明けたとき、夏休み中髪色を明るくしていた子たちが一斉に髪を黒くした。学校でそう指導されたからだ。私はそれが死ぬほど嫌だった。なぜ学校が生徒にそんなことをさせる権限があるのか理解できなかった。人の髪色なんてプライベートな部分を他人がコントロールしていいものなのだろうか。私は今も絶対にそうは思わない。

私はそのときあまりにも腹立たしくて、夏休みが終わると同時に髪を染めた。ただのうっすらした茶髪だったから気付かれないことがほとんどだったけれど。


数年後、20歳を過ぎた頃くらいに母親から私が髪を染めたとき、近所でうわさになっていたという話を聞かされてびっくりしたことがあった。しかも近所の人たちが実際に髪を見てうわさになっていたのではなくて、近所の美容院で染めたから、担当した美容師が「あそこの家の子、学校に髪の毛を染めて行ってる」と言い回ったらしかった。


自分の住んでいるところが狭いコミュニティだというのは分かってたつもりだったけど、ずっとそういうものを無視して生きてきたところがあったからこの話を聞いたときは本当にびっくりした。よく語られる地方都市の狭いコミュニティのテンプレすぎて。


話が飛んでしまったけれど、生活保護は、隣でそんなことを言われてる人を見てしまったのもあって本当に嫌になってしまった。手引きももらったけれど、書いてあることを読むとますます鬱になった。基本的にお国の税金をいただくという考え方で、整骨院ひとつ行くのにも「許可」を取らないといけないのだ。


こんなこと言うべきじゃないのは分かっているけれど、今の私にはこういうことに耐える力がもう残っていないと思った。たとえ建前だけでもそうすればいいのだと分かっていても。私の生きたいという気持ちは強くはなかった。


とにかくその日は日々自分が無視しようとしてる問題の核に触れ続けてすごく疲労した。でもとりあえず予定が終わるとM姉さんは元気出してとおいしいものをご馳走してくれた。私の抱えてる問題に時間と労力を割いて付き合ってもらったうえご馳走してもらい、ありがたさと申し訳なさが募った。私はいつかこれに報いるようなことができるのだろうか。


家に帰るとしんどさが増して、音楽を聴いていると涙が止まらなくなった。息をするのも苦しく、消えてしまいたかった。


「息をついても大丈夫 誰もあなたを責めたりしない」


イ・ハイの「Breath」の歌詞を思い出した。息をするのもしんどいというのはこういうことだと実感した。空気が鉛みたいに重く感じられてうまく吸い込むことができない。でももうこの先はなるようにしかならない。それに身を任せるしかない。その日はほとんど眠らなかった。

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