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試練



こっちに来てから親とほとんど連絡を取ってない。

今みたいな毎日不安で仕方のない状態でも、関わりたくない、の一点しかなかった。

でも今ふと、詐欺に遭う前の、母親と過ごした日々のことを思い出して胸が詰まりそうだ。

いつからか「向こう側」の「橋を渡ってしまった」人になってしまって、会話が通じなくなった。あなたは、私たちは詐欺に遭っている、と何度説得しても、加害者に洗脳されてるゆえ信じてもらえず、話が通じなくなった。


こんなことを考えるのは、眠れなくて「レディ・バード」のラストの運転のシーンを思い出したからかもしれない。

つらい。ただつらくて、つらくて、つらい。

なぜ母親を加害者に取られないといけなかったのか。どうやったら取り戻せるのか。

現実的に、加害者から物理的に離れた場所に家を買い、私が母を養えるようになるまで、無理だろう。これを病院で話すと「親の親になってはいけません」と注意されるけど。


母子家庭で、貧乏で、大変で、色々あったけど、頑張ってきた。大学に入ってまた学費ローンで借金だったけど、母親に支えてもらって勉強ができた側面もある。受験勉強の時も、勉強したいのに勉強を教えないクソのような学校に卒業するため通わないといけなかったこと、受験する友達がいない中ひとりで受験に立ち向かわないといけなかったこと。全部つらかった。


でもそんな時は車でよくドライブした。金曜の夜、塾が10時に終わったら、色々話しながら、夜景を見て2人でドライブした。

そのあと大学に入って、一限のために朝起こしてもらったり、5分でも多く寝たくて駅まで送ってもらったり、必死で授業についていった。奨学生になり、夢だった留学をし、たぶん親子二人で叶えた夢だったはずだ。


それが、今何でこんなことになったのか。悔しくて悔しくてたまらない。

私たちの親密だった関係は消え、苛立ちと憎しみ、悲しさだけが残った。私たちはもう何年もちゃんとした会話をしていない。

いつか以前のような日々は、戻ってくるだろうか。分からない。


卒業後、詐欺に遭うことがなければ私もここまで精神的にも追い詰められていなかっただろうし、なにより経済的に全然違ったはずだ。何度考えてもはらわたが煮えくりかえるほど腹が立つ。


詐欺については色んな人に早めに私のサイドから告発、公表することを勧められてる。将来邪魔してくるかもしれないから、と。そうしたいけど、思い出すのもつらいし、書けてないのが現状だ。

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