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何度地べたに叩き落とされても


最近帰宅してから運動をすることを習慣にしてて、天気が大丈夫な日はいちおう毎日ウォーキング&ランニングをしてる。こういう感じでご飯を食べたあとに1時間。




4月から働きはじめて9月後半になったけど、今やっと出発に向けて身体が調整をはじめてる感じがする。試合前の選手みたいに。

思い返してみると、前もそうだった。私が大学生で交換留学を控えてたころ、こうやって毎日同じ道を歩いて体調を整えた。片道2時間以上かかる大学に通ってたのだけど、1年生のときに課題が山ほど出るクラスの授業についていくのが大変すぎて、体調を壊してせっかく受かった交換留学(学費寮費食費免除)の権利を破棄したことがある。それで結局1年以上ゆっくり治療して、大学4年生のときにもう一度その試験を受けて無事交換留学に行くことができたのだけど。

その出発前もこうやって毎日同じ道を歩いてた。大型トラックばかりが通るせいで排気ガスの臭いがひどくて、ろくに舗装されてない道。私以外誰も運動するために歩いている人がいない道。


同時に、その当時私がどのくらい夢に燃えていたかもはっきりと思い出せる。かたい決意と共に拳を握りしめる、みたいに歩いてたことを。その後いろんなことが起こるけれど幸運なことは、その時と今の自分の大切にしていることが変わってないことだと思う。今も夢は何一つ変わってなくて、相変わらず呆れるほど物語が好きだ。俳優業と映画を作ることを仕事にしたい、というかするのだと思っている。


アメリカ留学前の私は歩きながら、もう二度とこの汚い道を歩くことはないようにしようと決めた。アメリカに渡る時点で生まれてはじめての一人暮らしだった。とにかく実家を出たかったから留学したらそのままどこかに就職するなり、続けて留学に行くなり、とにかくもう二度と戻らないと確信してた。


そしてそのあと詐欺に遭って騙されて、結局こっちに帰ってきて同じ道を歩くはめになる。でもその時でさえ、ここには今度こそ戻らないとはっきり決めて東京に引っ越した。


そして今、結局二度と戻らないと思っていた場所にまた戻ってきてしまった。三度目だ。排気ガスの臭いを感じながら道を歩いてると「地べたに叩きつけられる」ってこういうことなんだな、と理解する。どれだけマシな生活を送れるようになったと幻想を見せられても最終的に叩き落とされる。お前のいる場所はここだ、と。最初から出来もしないことを夢に見るな、いい加減ここを出るのは諦めろと。


でも今回いつもと違うのは私がはじめてほんとうに、自分の力だけで立とうと、出て行こうとしていることだ。交換留学といえど費用は学費ローンや他からの借金でまかなっていたし、子どもの頃から親が生活できるだけのお金を稼げず、常に借金をして生活していたからいつも不安だった。「自分の家のお金」というものがなかったし、経済的な部分は生活に直結しているからいつか住むところがなくなるかもとか、進学できるか分からないとか、不安は深刻だった。


でも今はほんとうに、自分一人の力だけでここを出ようとしてる。私はそのことがとても嬉しい。自分だけの足で立つことがこんなに安心できることだなんて思わなかった。私にもそんなことができる力があったんだ、と日々びっくりしてる。誰にも何にも借りを作らず、自分のお金があるってこんなに安心できるんだ、と。それに仕事は思っていたより悪くない。実家で親に言われた理不尽なことに対して怒って泣き叫んでいるくらいだったら家の外で働いたほうがずっと楽だし、お昼ご飯も無料で食べれるし、お金まで入る。職場ではチーム内で私のことをファミリーの一員と言ってくれる人たちもいて、友達と働いてるみたいな感じだ。出発が楽しみな反面、辞めるのが寂しくなるんじゃないかとも思う。


とはいっても実家が相変わらずひどいことには変わりないから、ここからカナダに引っ越してほんとうに一人で自立したとき、やっと私の人生が始まるのではないかという気がしてる。その瞬間が今から楽しみだ。だから何度地べたに叩きつけられても私はあきらめないし、負けない。

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