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海外留学を目指していたらものすごくややこしい人に出会ってしまい、被害に遭った話④



このブログを書き始めてから現在私が困難な状況にあること、そしてその原因を一言で説明するのが難しいゆえに「詐欺に遭った」とだけ書いてきましたが、その詳細を大学卒業後からの時系列順に書いています。


【注意】今回の記事は自死を扱っています。心の状態によって読むのが大きな負担になる可能性があります。注意してください。


相談窓口をお探しの場合、厚生労働大臣指定法人・いのち支える自殺対策推進センターが推奨している案内先を置いておきます。

・#いのちSOS(電話相談)https://www.lifelink.or.jp/inochisos/

・よりそいホットライン(電話相談)https://www.since2011.net/yorisoi/

・生きづらびっと(SNS 相談)https://yorisoi-chat.jp/

・厚生労働省 相談先一覧

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧 https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php


過去の記事はこちらから

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それから数日後、すぐに仕事は始まった。一日目はオリエンテーションで、契約内容の確認や業務内容の説明、店舗情報など基本的なことを学んだ。そこですでにその日から社会保険に加入していることを説明された。これですべてうまくいくのだとひと安心した。


季節は冬だった。面接に受かったあとしばらく落ち着くまでと、私は引き続き親戚の家に居候させてもらっていた。ただ普段誰もその部屋を利用してないため部屋には暖房がなく、みんな基本的に車で生活をしているため家から最寄り駅までは徒歩20分以上かかった。


真冬の早朝にそれだけの距離を歩くのもつらいので、家の前から駅まで走っているバスを利用することにした。そうするとバスの時間に合わせて結果的に朝の6時すぎには起きないといけなかった。


まだ外が薄暗く、凍てつく寒さのなか布団から出るのは大変だった。布団から顔だけ出して息を吐くと、その息が真っ白になるほどだった。


なんとか布団から出て洗面所で顔を洗い、こたつのように布団に足を突っ込みながらメイクをして、部屋の隅で冷たくなっている仕事用の服に着替えた。昨日の夜ベランダに干した洗濯物は凍っていた。


あらかじめ借りていた合鍵で家のドアを閉め、眠っているように静かな住宅街を抜けてバスを待った。


2017年の12月。今でも鮮明に思い出せるほど寒い冬だった。


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職場に着くとまず従業員が出入りする場所や、挨拶の仕方を教えられた。


教育係の先輩にすでに本の陳列作業をしている従業員たちに挨拶してくることを促され、挨拶に行った。そうするとたいていの人が「ああ」という抑揚のない返事をして、また同僚との会話に戻っていった。


とにかく一番にマスターしてほしいと言われたのはレジの使い方で、その説明が一通り終わると今度は本のラッピングや本の注文の仕方、客から頼まれた予約本の扱い方、図書券の売り上げの記録の仕方...とにかく覚えることはいくらでもあった。


一番早く覚えられたのはレジの使い方で、3日目にはすでに忙しくレジを打っていた。クリスマスシーズンで、プレゼントに本を買い求める人は意外と多く、ラッピングも大忙しだった。


だけど職場の雰囲気は明らかに変だった。実際に書店で作業をしていない店長以外、みんな異常にピリピリしているのだ。忙しければもちろんそうなってしまう時もあるだろうけど、特に教育係の人の話し方にはあきらかに棘があり高圧的で、私も同期入社した子も萎縮しっぱなしだった。


「新人いじめ」と言えば簡単なのかもしれないけれど、まるで私たちがどこまで耐えられるかを試されてるようだった。


ある日は同じ雇用形態で働いていた別の先輩にランチに誘われた。ついて行くと、その先輩は「絶対誰にも言わないで」と前置きしたうえで「自分は本当は違う仕事がしたい」とか、聞いてもいないかなり個人的な事情をペラペラと語りはじめた。その人と会ったのはその日が初めてだった。


その話に相槌をうっていると、私のことをニックネームで呼んでいいかと尋ねられた。正直距離の詰め方が少し強引だという印象を受けたけど、それを承諾した。


昼休みが終わり、仕事が始まるとその人は態度を急変した。私に仕事を頼んだかと思えばすぐに気が変わったようなことを何度も言ったり、他の人に頼まれた仕事をやっているとそれに文句をつけたり、時には大きな声で怒鳴った。仮に私の仕事ぶりがひどいものだったとしても、まだ働き始めて3日目とか、ものすごく序盤の話だ。


まず、朝も一緒に働いていたのにランチ前と後とでは態度が全然違った。なんとなくだけれど、その"しごき"から「プライベートでは優しくても仕事では厳しい先輩」を演じているのに付き合わされているような気分になった。


とにかくそこは今まで他のバイト経験がある私でもびっくりするほど嫌な職場環境で、全ての本屋がそうでないことを願っているけれど、トラウマになった体験だった。


かといって仕事を辞めるわけにはいかない。このことを誰かと話したいと思っていたら例の同日入社の子と帰りが一緒になった。思い切って「この職場どう思う?〇〇さんのああいう態度、パワハラっぽくない?」と聞いてみた。


その子は私よりもあまり喋らない静かな子だった。その子は深刻な表情で「そうだけど、やっと見つけた仕事だから絶対に辞めるわけにはいかない」と言って帰っていった。


それから何度かシフトに入っているうち、その子のことを見かけなくなった。店長に聞いてみると一身上の都合で辞めたという。辞めるのは私の方が先だと思っていたから意外だった。


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なにはともあれ、今回の一番の目的である社会保険に加入という目的は達成した。Eが言うにはずっと続けて加入する必要はなく、一度加入したらそれでいいとのことだった。


なのでEの口座も問題なく動き始めるはずだった。それに合わせて私も仕事の合間を縫って一人暮らしをするための家を探しはじめた。


親戚の家にいつまでもお世話になるわけにもいかないし、私自身もいつまでも旅人のように人の家に滞在することは落ち着かなかった。


まずどこに住むのかを定め、当時友人が住んでいた街の雰囲気が好きだったことを思い出し、そこの不動産で何件かアパートを周り、家を決めた。もちろん契約にあたってはEが全ての費用を負担すると言っていた。なぜなら私は社会保険に入ったのだから。


順調に話を進め、いざ契約書にサインというときになって、Eはその書類のを全てFAXで送るように命令してきた。私は一刻も早く一人暮らしがしたかったし、もうすでに不動産のお世話になっていたから契約を早く終わらせたかった。


この後に及んでまだ何があるんだと不満に思いながら、最寄りのセブンで500円かけて大量の書類をFAXした。


そして数十分後、母から電話がかかってきた。電話越しの声は深刻だ。私が借りようとしている家にとんでもない問題が見つかったのだという。


Eは電話を代わると「この物件は将来、借主(私)が借金を背負わせられる可能性がある。こんな危険な物件にはお金を出せない」と言った。


契約書に書いてある物件の形態からそう推測したようだけど、不動産の担当者に尋ねるとそれは大家の税金対策でその形態になっていることを説明され、貸主は昔からの地主だから私が何か被害を被るようなことは考え難いと言われた。同時に私もネットで調べてみたけれど、だいたい同じような意見だった。


私はやっと一人で暮らせると思い、働きながら何度も不動産に通い、苦労して決めた家を否定されたのが許せなかった。


と同時に気力、体力を含めもうすべてに限界がきていた。


私はわかってしまったのだ。Eはお金を出さないためにこうやって、ありとあらゆることに文句をつけてくるのだと。


そして大量に書類のFAXを送らさせたのも、書類の中から必死にアラを探してお金を出さない理由を見つけるためだったのだと。


薄々気づいていたのに長い間見ないふりをしていたことが、現実として一気に目の前に現れた瞬間だった。


私は怒りで震えた。比喩ではなく、手に持っていた契約書が震えているのがわかった。と同時に絶望した。ああ、今までのことは全部嘘だったんだと。


一人暮らしのことだけでなく、留学の話も、そして新しい家も存在しないんだと。


あまりにも頭にきて母親に電話をし、今までのことは全部嘘だった、あいつは嘘つきだ、これからどうするんだとわめいた。母親はもちろんEを信じていたし、とにかく落ち着いて話し合うために一旦帰ってくるようにと言われた。


だけど私はもう生きていられないと思った。


母親に「新幹線に飛び込んで死ぬ」とだけメッセージを送った。


当時の私は混乱していてそれを本当に実行しようとしていたのか、自分でも分からない。混乱したまま新幹線に乗り、ふらふらと最寄り駅を降りると数人の警察官が私のことを探していた。


名前を聞かれて答えるとそのまま駅の中の交番まで連れて行かれ「お母さんも心配してるんだから自殺なんてするな」と説教をされた。そのあと駅まで迎えに着た母親の車に乗った。


今度こそ本当に警察のお世話になってしまった。



に続く

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